電子版麻酔学教科書

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  輸液の基本:種類と使い分け #21
投稿者  諏訪邦夫
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投稿日時  2001年02月10日 21時29分
輸液の基本:種類と使い分け

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輸液は電解質の組成によって大きく2種類に分けられる.使い分け方はかなり異なっている.

血清や細胞外液の組成に近いもの
例:
乳酸加リンゲル,リンゲル,生理食塩水など
特徴:
ナトリウム濃度が130mEq/Lと高く
カリウム 濃度が 4mEq/Lと低い
用途:
体液(細胞外液)を急速に補充する目的で
用途の実例:
麻酔初期の循環の不安定化を修正
局所麻酔・全身麻酔・人工呼吸などでの静脈還流障害を改善する

NaイオンとKイオンの比率が,摂取率・ターンオーバー率に近いもの
例:
糖質に少量の電解質の加わったもの
特徴:
ナトリウム濃度が40mEq/L
カリウム 濃度が20mEq/L
程度に調整されている
用途:
体液を急速に補充する必要はなく,“1日必要量を維持する”だけの場合
用途の実例:
影響が全身に及ばない小手術と浅い麻酔の組み合わせ
診断的処置の場合

多数の麻酔と手術では,輸液の意義は両者の中間にある.
したがって,両者を複合して使用する必要がある.1のみでは,ナトリウムが多すぎてカリウムが少なすぎるし,2のみでは水とカリウムが多すぎてナトリウムが少ない.例えば
ナトリウム濃度が70mEq/L
カリウム 濃度が20mEq/L
程度のものも作成されている.


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諏訪邦夫

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