TURの麻酔の新しい考え方
--------------------------------------------------------------------------------
TUR,とくにTURP(前立腺切除)の際には,別の項目で述べたように,水中毒が発生しやすい. そのために,従来は“意識をとらない麻酔”の絶対的な適応とされてきた.具体的には脊椎麻酔と硬膜外麻酔である.
現在の方法は古臭い? しかし,そうだろうか.もっと違う考え方はできないだろうか. 従来の考え方は,“患者をみて,症状を捉えて,それから診断して,対応していく”というやり方である.これは実は麻酔学全般からみれば,やや古い考え方である.少なくとも“症状がでるまでは何もしない”のは古臭い.
現代の麻酔の基本は 現代の麻酔の基本は,“積極的に情報を捉える手段を講じて,それに対応していく”やりかたである.術前回診や検査の精密化にしても,術中のモニターにしてもそうである.その考え方でプロトコールを書いてみよう.
プロトコールの基本 水中毒発生を症状に頼らない.血清ナトリウムを頻回に測定する.
プロトコールの実際 動脈を入れる. 血漿ナトリウムを30分毎に測定する. 循環と呼吸のモニタ−(パルスオキシメーターの使用)
蛇足: 別項で書いたレーザーメスが普及すれば,こんな議論自体が昔話になるかもしれない.
--------------------------------------------------------------------------------
諏訪邦夫
| |