腎移植の麻酔
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輸液: 量:移植までは少なく 移植が完了して,利尿がついたら,充分に与えること. 質:カリウムをいれない(ソリタ T1)
輸血: 移植腎のつきのために白血球除去血を使用したこともあるが,現在ではそもそも出血しない.
循環管理:低血圧にしないこと.
麻酔法: 全身麻酔か硬膜外麻酔併用か(現在東京大学では硬膜外麻酔を併用) エンフルレンの代謝産物に腎毒性があるという説がある.
筋弛緩薬: 避けたいが,そのために局所麻酔薬中毒になるのも困る.したがって,モニタ−しながら,つかう.
モニター: 無侵襲のものは全部使う.動脈カテーテルは入れる.これは電解質,ヘモグロビンなどのチェックをしたいから.
体温: 下がることがある.
硬膜外麻酔と局所麻酔薬中毒: 腎移植の時に局所麻酔薬中毒が起こりやすい気がする,というのば松下先生の意見. 仮説としては,ヘモグロビンや血漿蛋白が低いために,局所麻酔薬が中枢神経系に移行しやすいからか.その他に,局所麻酔薬の代謝や排泄が腎に依存している部分もあるかも.初段は肝臓依存でも,終段が腎の,とくに尿細管の分泌に依存している可能性,移植直後の腎は糸球体は活動するが尿細管の活動はよくない.だから多尿になるのだ,つまり再吸収が悪い.
[文献] 宮崎正夫:慢性腎不全患者,殊に腎移植患者の麻酔. 山村他編:新臨床麻酔学全書 4A:各科の麻酔(1):Pp 405-415. 1984.
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諏訪邦夫
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