電子版麻酔学教科書

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  腎移植の麻酔 #25
投稿者  諏訪邦夫
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投稿日時  2001年02月10日 21時32分
腎移植の麻酔

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輸液:
量:移植までは少なく 移植が完了して,利尿がついたら,充分に与えること.
質:カリウムをいれない(ソリタ T1)

輸血:
移植腎のつきのために白血球除去血を使用したこともあるが,現在ではそもそも出血しない.

循環管理:低血圧にしないこと.

麻酔法:
全身麻酔か硬膜外麻酔併用か(現在東京大学では硬膜外麻酔を併用)
エンフルレンの代謝産物に腎毒性があるという説がある.

筋弛緩薬:
避けたいが,そのために局所麻酔薬中毒になるのも困る.したがって,モニタ−しながら,つかう.

モニター:
無侵襲のものは全部使う.動脈カテーテルは入れる.これは電解質,ヘモグロビンなどのチェックをしたいから.

体温:
下がることがある.

硬膜外麻酔と局所麻酔薬中毒:
腎移植の時に局所麻酔薬中毒が起こりやすい気がする,というのば松下先生の意見.
仮説としては,ヘモグロビンや血漿蛋白が低いために,局所麻酔薬が中枢神経系に移行しやすいからか.その他に,局所麻酔薬の代謝や排泄が腎に依存している部分もあるかも.初段は肝臓依存でも,終段が腎の,とくに尿細管の分泌に依存している可能性,移植直後の腎は糸球体は活動するが尿細管の活動はよくない.だから多尿になるのだ,つまり再吸収が悪い.

[文献]
宮崎正夫:慢性腎不全患者,殊に腎移植患者の麻酔.
山村他編:新臨床麻酔学全書 4A:各科の麻酔(1):Pp 405-415. 1984.


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諏訪邦夫

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