電子版麻酔学教科書

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  ニコランジル #16
投稿者  諏訪邦夫
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投稿日時  2001年02月10日 18時14分
ニコランジル

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化学:
ピリミジン系統の化学物質.薬効分類では,カリウムチャンネル開口薬である.商品名「シグマート」

動作特性:
カリウムイオンチャンネルそのものは,いろいろの種類が知られている.ニコランジルは,そうしたカリウムチャンネルを開口する薬のうちで,特にATP感受性カリウムチャンネルに作用する薬物である.ただし,1997年の時点で,カリウムチャンネルを開く薬物で臨床に使えるものは,ニコランジルが唯一である.カリウムイオンの作用:カリウムイオンの特性は,一般には膜の興奮を抑える,興奮を鎮めるという方向の作用である.

薬理作用:
大まかに,二つのことを行う.
Kの流入(K influx)の増加
過分極
この他に,条件によって NO を放出する場合のあることが判明している.特に,肺循環に対する作用は NO 経由らしい.
カリウムチャンネル開口薬は,とにかくKを流入させ,過分極を起して血管が開く

心臓への作用:
KATP(ATP依存性のKチャンネル)の順応が中心だという.
カリウムチャンネルのうちで,このカリウムチャンネルKATPは,閉じやすい性質があるが,ニコランジルを投与すると,虚血の際にpH・ADP・アデノシンなどでカリウムチャンネルが開き,あるいは開きやすくなる.
そうすると,活動電流が短くなり,酸素消費が減り,心筋は休息時間が長くなる.それが,ニコランジルの作用だと解釈されている.
冠状動脈を開き,狭心症を改善し,心筋梗塞の量を減らす.
心臓の機能が全体として改善する.
抗不整脈作用
全身循環への作用は,心臓作用に比較して乏しい.

用途:一般的なものの他に
CABG手術時の心筋保護
現在は,カリウム投与で脱分極をおこしているが,この方法ではカルシウムイオンをはじめ,他にイオンの不可逆的な異常を招く危険がある.これに,カリウムチャンネル開口薬を組み合わせれば,比較的に可逆的な条件で可能かも知れない.
虚血と再潅流の問題にも同じことが言える.
冠状動脈をいじる場合


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諏訪邦夫

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