電子版麻酔学教科書

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  Ca++ブロッカー #15
投稿者  諏訪邦夫
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投稿日時  2001年02月10日 18時13分
Ca++ブロッカー

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一般名:ニフェジピン・ニカルジピン・ヴェラパミル・ディルティアゼム・
商品名:アダラート・ペルジピン・ワソラン・ヘルベッサー

カルシウムチャンネルブロッカーは.下の三種類の系統に分類される.このうち,第1群のうちのニカルジピンと,第3群のディルティアゼムは日本で開発された薬物である.


ニフェジピン:商品名アダラート
作用:
降圧,血管拡張,冠状動脈拡張にも
用途:
高血圧,狭心症
半減期:3〜6時間
用法:経口
注意:
起立性低血圧,βブロッカーとの相互作用

ニカルジピン:日本で開発された薬物である.商品名ペルジピン.作用,用途,半減期はニフェジピンと類似だが,
作用:
脳血流増加作用をもつことが特徴.
用途:
脳血流増加と静脈注射可能なために,麻酔医は好む.ただし,脳神経外科の医師はそれ故に“脳圧が上がる”として逆に嫌う人もいる.
用法:
静脈注射が可能なのが特徴.
半減期:
1時間と短い.しかも,静脈注射で使うので使いやすい.

ヴェラパミル:商品名ワソラン
作用:
AV,SAノードの活動電位を下げる.
AVノードの不応期延長.
用途:
上室性頻脈と期外収縮
Ca++ブロッカーのうちで,この薬物だけが不整脈への作用が明確である.
半減期:6時間
用法:5〜10mg.
注意:
局所麻酔薬,βブロッカーとの相互作用
WPWなどの発作誘発の危険
研究室ではダントロレンとの相互作用も.
吸入麻酔薬の血圧低下を強める
筋弛緩薬の作用時間延長
構造はカテコールアミンに似る.

ディルティアゼム:商品名ヘルベッサー
作用:
降圧,血管拡張,冠状動脈拡張にも.刺激伝導系への作用はヴェラパミルよりよわい.
用途:高血圧,狭心症
半減期:4〜6時間(経口投与)
用法:
経口,1タブレット10mg
なお,カプセルを針でやぶって薬液を粘膜に塗布する.
注意:
起立性低血圧,βブロッカーとの相互作用
構造はベンゾディアゼピンに似る.

文献:Carson IW et al. Br J Anaesth 51:659. 1979.


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諏訪邦夫

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