麻薬とくにフェンタニルを中心とした麻酔法
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モルフィンという古い麻薬を,常識を越えた大量使用する麻酔法は,心臓弁置換手術から初期の冠状動脈バイパス手術を可能にした大きなステップであった.
量の間違いから生れた大量噎岬ヰ"Give ten!"
吸入麻酔薬中心の麻酔法は心臓への作用が強く,心不全や冠不全患者の麻酔は困難だったが,モルフィン大量法で容易になった.
モルフィン大量法が確立すると,すでに使用が始っていた合成の麻薬フェンタニルも大量使用してみようという機運が起こった.
フェンタニル麻酔も,始めは心臓手術への麻酔法として開発されたが,現在では全身状態とくに心臓の状態不良の患者の手術を対象とした麻酔法としても確立普及してきている.
欧米では手術時にこの方法を採用して,術後は集中治療室での人工呼吸へと移行して行くのが標準で,集中治療室の普及や拮抗薬たるナロキソンの開発も原因であろう.
現時点で,長時間手術や巨大手術に対して硬膜外麻酔+全身麻酔とフェンタニル麻酔との領域区分は明確ではない.
キーワード:フェンタニル,モルフィン,麻薬,心臓手術
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諏訪邦夫
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