術後鎮痛法
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疼痛の訴えと処置 強い疼痛は心理的に辛いのみでなく呼吸や循環も障害する.ある程度の鎮痛は必要である.1980年代から,術後鎮痛に対する関心がまして,医師やナースが対応するようになり,それに応じて各種の鎮痛法が開発された.
鎮痛の方法: 会話 プラセボ(プラセボの効果は馬鹿にならない) 麻薬系鎮痛薬 硬膜外ブロックの追加(カテ−テルのある場合) 硬膜外麻薬 などである.
副作用: 会話やプラセボ以外は何れもかなりの副作用があるので,選択に注意する. 副作用が発現して,それに対する処置を終えて反応がおさまるまで,回復室からの退出を遅延させる必要がある. 局所麻酔薬を使用して硬膜外ブロックを行なう場合,手術よりは薬物の濃度も投与量も,はるかに少なくて済む.手術の痛みと比較すれば,術後の疼痛は軽度であり,範囲も限定されており,自律神経系を介する要素も大きいからである. 硬膜外麻薬使用は,血圧低下がほとんどないのは利点である. しかし,何時間も後になって換気抑制が起りうることが知られている. モルフィンはこの危険性が強い.筆者は使用しないことにしている. 局所麻酔薬による低血圧なら回復室内で起るから,麻酔医の管理できる範囲内であるが,麻薬による呼吸停止は病室へかえって,皆が安心した時点で発生する.
現在ではブプレノルフィン(0.1〜0.2mg)程度の使用が中心になっている.
参考: ブトルファノール硬膜外投与に静注以上の利点はない
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諏訪邦夫
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