不穏と興奮
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回復室での不穏興奮の寄与因子は 疼痛や不快感 麻酔前の不安・心配が術後に出る 手術中の体位・無理な操作 扁桃腺摘出など口腔内や咽喉頭部をいじる手術は悪い 手術中のハイポキシア・ハイパ−カ−ビア・不安定な血圧 ・膀胱膨満 換気障害(気道閉塞・筋弛緩薬の残存・気胸) “息ができない”という訴えで気付くことあり
処置: 不穏・体動などで患者が自身や周囲を障害しないようにまず注意. 原因としてハイポキシア・ハイパ−カ−ビア・換気障害・血圧上昇などがないことを確認する. 原因と思われるものを一つずつ除去する. 鎮痛・快適な体位・酸素投与・気道内分泌物除去・排尿・体温の維持・酸素投与なども有効. 麻薬を少量ずつ静注する(モルフィン2mgずつなど). フィゾスティグミン3〜5mgが特効を呈することあり. 逆に,スコポラミンが猛烈な不穏・体動を惹起することあり. フィゾスティグミンに関しては別項
予防: 手術の終わり際で,麻酔の浅くなった状況で患者を強くし激しないように注意する. 手術終了後に体位変更が必要なら,その時点までしっかり麻酔を続ける.また筋弛緩薬を効かせておく.麻酔覚醒と筋弛緩薬のリバースは,処置がすべてが完了してから行う. 強いバッキングを防止する.気管粘膜をあらかじめ麻酔しておく.頚を動かさない,などに気を付ける.気道内吸引はバッキングを招くので,是非必要な時以外は避ける. 患者を無理に覚醒させない.なるべく静かに,さわやかな目覚めを図る.
蛇足: 手術終了時にむやみに刺激しないこと.不要な口腔内吸引をさける.呼びかけて無理に覚醒させないこと.
参考:老人の術後混迷を避ける麻酔プログラム
キーワード: ハイポキシア,膀胱膨満,換気障害,体温,モルフィン,フィゾスティグミン
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諏訪邦夫
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