小児の麻酔薬
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小児に特に適した麻酔薬はない.
エンフルレンに比してハロセンの使用頻度が高い. 理由: 小児ではハロセンによる肝障害が稀れ. エンフルレンで痙攣のおこる可能性が,小児では成人より高い. エンフルレンはハロセンより刺激臭が強い.
力価: ハロセンもエンフルレンも,10〜20%程度は成人より高濃度を要する. 成人では極く稀れにしか使われない笑気−クラーレ法も,小児では完全には捨て去られていない. 逆に麻薬を用いる麻酔法の頻度は成人よりも低い.(と,私は理解しているが). 麻薬の代謝がおそく,個体差も大きい.また体温が下がりやすいのでその管理が大変でもある. 局所麻酔の割合も少ないことを考慮すると,小児では吸入麻酔薬の比重が重いことになる. ケタミンに関しては別項参照 イソフルレンの小児麻酔での地位も確立した.導入はハロセンほどスムースでない.
セヴォフルレンのスピードは小児麻酔の導入薬として,また短い手術の維持薬として愛されるようになってきている.セヴォフルレン麻酔の初期には,「しかし,小児にはハロセンが捨てられない」という主張もあったが,使用に習熟するにつれてその主張は影をひそめて,セヴォフルレンに全面的に切り換えているようである. セヴォフルレンは術中に血圧上昇や頻脈に悩まされる頻度は高いし,自発呼吸での維持はむずかしい.この点は,ハロセンにかなわない. しかし,ハロセンと悪性高熱との関係も含めて,ハロセン信奉者もしだいに力を失って来ている. キーワード:ハロセン,エンフルレン,笑気−クラーレ法,麻薬,
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諏訪邦夫
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