筋弛緩薬と小児麻酔
--------------------------------------------------------------------------------
筋弛緩薬についても,特に小児に特に適したものはない.
非脱分極性筋弛緩剤:1997年の時点では,ヴェクロニウムが中心で,他に人によってはクラ−レとパンクロニウムとを使用するかも知れない.
サクシニルコリンの静注では,特に短時間内に反復した場合は強い徐脈がくることがある.稀には心停止の起ることもある.挿管前にアトロピン投与の望ましい理由の一つである.
サクシニルコリンの使用では,悪性高熱や筋肉融解によるカリウム放出の危険が防止できない.
この合併症が小児では相対的に重大なので,専門家は使用の頻度が低下している.1993年春の 日本麻酔薬理学会で講演した Dr. Gouzouzian 氏のいうところでは“サクシニルコリンは万一の用心として準備するが,使用は1年に1回位”ということだった.挿管にはもっぱらヴェクロニウムを使用しているという.
ここで万一,とは高度の喉頭けいれんによる換気障害をさしている.
投与量: ベクロニウム 0.15mgで挿管 クラ−レの投与量 0.4(ハロセンなどを併用の場合) 0.7(笑気−クラ−レ法の場合)mg/kg パンクロニウム 0.08mg/kg パンクロニウムは笑気のみ併用(笑気−クラーレ法の変法)は勧められない. サクシニルコリン 静注なら1mg/kg 筋注なら2mg/kgである. キーワード:ベクロニウム,サクシニルコリン,クラーレ,パンクロニウム,アトロピン
--------------------------------------------------------------------------------
諏訪邦夫
| |