硬膜外麻酔に穴布を使用しない
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穴布 draping for epidural anesthesia
脊椎麻酔や硬膜外麻酔を施行する際に穴布を使用しないことにしている.特に初心者の方には,重要な要素だろう.
やり方:背中を広く消毒し,布は患者の下に敷くだけにする.
理由: 理由は単純である. 脊椎麻酔や硬膜外麻酔では,患者の体位や体型との関連付けが大切である.少し曲がったり傾いていれば,その分を補正して針の方向を変える必要がある. 穴布をかけてしまうとそれがわかりにくくなる. 布を敷くだけで,全景が見えるとずっとやりやすい. 正確に正中線で刺入し正確に矢状面をすすめば,成功率は高い. それが脊椎麻酔や硬膜外麻酔の最大のポイントであるから,身体全体が見えた方が成功しやすい. 穴布で覆ってしまうと,わずかな傾きや位置のずれが見分けにくくなる. なかなかうまく行かなかったのに,穴布をはずしたら(同じ技術で)すぐに成功した例を多数経験している. したがって,通常は穴布を使うことにしておいても,「穴布を使わないやり方」にも慣れておいて,うまくいかない時に使ってもよい.
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諏訪邦夫
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