全身麻酔併用時の硬膜外麻酔の効果判定
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全身麻酔併用時の硬膜外麻酔の効果を判定するのは容易でない. 第一に硬膜外カテーテルを正確に挿入する必要があるが,そもそも「硬膜外麻酔に自信がないから全身麻酔を併用する」という要素がないわけではない.研修医を指導して麻酔する場合には,この観点は実際問題として重要な意義がある. 通常は,局所麻酔薬の量と血圧や心拍数の反応を参考にするが,はっきりしたサインはとらえられない. 皮膚の反応が参考になるという意見もある.発汗,皮膚のざらざら感(挙毛筋の反応)・皮膚温などでわかるともいう. そうした指標は,研究対象として有効性はある程度確立しているが,ルーチンに応用できるほど信頼度が高いかは疑問である.少なくとも普遍的に認められてはいない.まあ,認めない側の怠慢や石頭も否定はできないけれども. やや異なるニュアンスの反応であるが,刺激に対する瞳孔径をみることで判定できるという論文が最近提出された.硬膜外麻酔の効いている領域なら,刺激に対して散瞳しないないが,硬膜外麻酔が効いていない領域を刺激すると散瞳するという.さらに,硬膜外麻酔が効いていると対光反射がでないという. なかなか面白い結果であるが,ルーチンに応用できるかは今後の検討が必要である.
全身麻酔併用の硬膜外麻酔の麻酔域は瞳孔径でわかる
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諏訪邦夫
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