内因性オピエイトとオピエイト受容体
--------------------------------------------------------------------------------
内因性オピエイトの概念: モルフィンのような物質の特異的な受容体が体内にあることが判明し,さらにこの受容体に作用する物質が体内で生成されて,伝達物質として作用していることが判明した.
内因性オピエイトの歴史: 内因性オピエイトの種類: エンケファリン類 − アミノ酸が5つ程度の小さい物質,もっと短い物質も知られている.有名なのは,ペンタペプタイドのエンケファリン. エンドルフィン類 − アミノ酸が数10個から200個のやや大きな物質.有名なのは,アミノ酸31個のポリペプタイドであるβエンドルフィンで,中枢神経系の各所に存在するが,下垂体の濃度が高い.
内因性オピエイト受容体の役割: 現時点では,内因性オピエイトの生理的な役割は明確になっていない.
臨床とのかかわり: エンケファリンは代謝が速いので,外から加えても作用は弱く,評価もむずかしい.βエンドルフィンはモルフィンよりも数十倍も強力で,安定性も高いが,構造が複雑なので現時点では薬物としての使用は限定されている.
蛇足: エンドルフィンは遺伝子工学の応用などで,近いうちに安価大量に供給されるようになる可能性が高い.
--------------------------------------------------------------------------------
諏訪邦夫
| |