ニューロレプト neuroleptan 1202
概念: 強力な鎮静薬(ドロペリドルが代表)と強力な鎮痛薬(フェンタニルが代表)とを組み合せて,「麻酔状態」(痛みを感じず,その他の刺激にも反応しない状態)をニュ−ロレプトアナルゲジアと称する. これに笑気乃至極く低濃度の揮発性麻酔薬,催眠薬を加えて意識をとった状態を“ニュ−ロレプト麻酔”という.
利点: 心機能抑制が少ない. フェンタニル単独麻酔の開発で,あまり重要とは考えられなくなった.
欠点: ドロペリドルの循環系への作用が問題である.
α遮断作用がかなり強力. しかも,時に強い反射を惹起することがある. 作用が数時間と長過ぎる.
ニュ−ロレプト麻酔の変法 原法は上記の通りだが,使用する薬物の組み合わせをいろいろに変えた“変法”がある.一番多いのはディアゼパム+ペンタゾシンである.麻薬を使用しないので(ペンタゾシンは,オピエイトの一種だが,法律的には麻薬ではない),医療の現場でもややつかいやすい.しかし,鎮痛作用は量を増してもフェンタニルほど強力ではない. エンフルレン,アイソフルレンの登場,さらに硬膜外麻酔+全身麻酔併用法の普及でニュ−ロレプト麻酔の必要性は減少した.
蛇足: 私(諏訪)は,最近何年もドロペリドルを使った記憶がない. “ドロペリドル”,“フェンタニル”の英語のアクセントは,前者はペに,後者はフェにある.ずいぶん面倒ですな.
それにしても,“ドロペリドール,フェンタニール”という日本語の書き方と発音(ドとニにアクセント)も不細工で,アメリカ人の“ヨコハーマ”という発音を思い出させますね. キーワード:ドロペリドル,フェンタニル,静脈麻酔法,静脈麻酔薬
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諏訪邦夫
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