エンフルレンの気化器にセヴォフルレンを入れる
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やってはいけないことだが,エンフルレンの気化器にセヴォフルレンを入れてみた.
状況: 医学部附属病院の手術室には,エンフルレンとイソフルレンの気化器しかついていない麻酔器が一台ある.そこが,耳鼻科や形成外科の多い部屋で,小児の緩徐導入をするチャンスが比較的多い.セヴォフルレンかハロセンがないと緩徐導入がしにくい. そこで,エンフルレンの気化器にセヴォフルレンを入れてみた.
論理: エンフルレンとセヴォフルレンは薬効と物理性が似ているので,危険が少ない. MAC・蒸気圧・沸点などを比較すると下のようになる
MAC 蒸気圧 (mmHg) 蒸発熱 kcal/M 沸点 20℃ 25℃ 36℃ エンフルレン 1.68% 175 218 345 54〜57℃ セヴォフルレン 1.71% 157 197 316 7.9 59℃
薬効は異なるが,物理性が非常に近いので,まぜても大丈夫だと結論. セヴォフルレンの方が蒸気圧がやや低いから,濃度がでにくいはずである. 気化器は木村医科製 モニタ−はマススペクトロメーター 気化器のダイヤルより,マススペクトロメーターの読みはずっと低い.この点は,この気化器はそもそも濃度が出にくい上に,エンフルレンよりセヴォフルレンは蒸気圧は低いので,かなり低い.不思議はない.
どうやら無事麻酔がかかっている.
註:こういうことを,臨床麻酔として本当に許すかどうかは別問題.一応,“できた”ということである.
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諏訪邦夫
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