理想の吸入麻酔薬の条件
--------------------------------------------------------------------------------
理想の吸入麻酔薬の条件を列記してみよう.
速度:笑気やセヴォフルレンの速さ.これ以上速くてもメリットはほとんどない. 強さ:MAC が50%以下で有効.20%〜30%以下が望ましい. 体内での代謝:なし “麻酔”以外の作用なし. 燃えない. 無味無臭でもいい.または独特な,しかも快い芳香ならさらによい.五感で検出したり定量が可能だから. 気道刺激性がないこと. 使用に複雑な装置を要さない(現在の気化器程度まで). デスフルレンは,特殊な気化器が必要なのが大きな欠点. 測定しやすい. 色はないか,あっても強くない. 高純度のものが作りやすい. 価格は妥当. セヴォフルレンはこうした理想の吸入麻酔薬にかなり近い. セヴォフルレンが上記の条件に適合しない点:
気道刺激性:強くはないが,理想からはやや距離がある. 体内での代謝:これは多い.物質としても不安定で,代謝量も多く,また身体の外でもたとえばソーダライムの条件によっては,化学反応を起す. ゼノンはこうした理想の吸入麻酔薬にかなり近い. ゼノンが上記の条件に適合しない点:
弱い:mac は70%? 高価:価格は工場原価で2000円/L位. 測定:測定もやさしくない.
--------------------------------------------------------------------------------
諏訪邦夫
| |