経鼻挿管
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経鼻挿管のポイント
左の鼻孔 マギル鉗子は方向をきめるだけ マギル鉗子を使わないで入れると“カッコイイ” 先端が入ったら,喉頭鏡をゆるめる
1)鼻の孔は可能なら左の孔がいい 理由: 鼻の孔を通った気管内チュ−ブは,意外にも(?)体軸に平行に位置している.先端が正中線に向かうことは稀である. 気管内チュ−ブの先端は,斜面が左に開いているので,左から挿入した方が,先端の尖った部位が中央に近い.右の鼻の孔から入れると,先端は右側によってしまう.
2)マギル鉗子を使う時でも,この鉗子は方向をきめるだけで,進めるのは助手に押して貰う. 理由: この鉗子は掴んで方向をきめることはできるが,前後に進めるのは苦手なもの.方向を決めれば,助手がただ気管内チュ−ブを押してやればいい.
3)マギル鉗子は使わないで入ることも多い これには要領が必要だけれど,ちょっとトレーニングすれば可能. 鉗子を使わずに入ると“カッコイイ”ですよ.硬い鉗子で損傷するのも防げる.
4)先端が入ったら,喉頭鏡をゆるめる 理由: これが経鼻挿管で一番重要なポイント.喉頭鏡を使う経鼻挿管では,咽頭から喉頭に向かう気管内チュ−ブと気管上部の方向がかなりずれている. 声門を頂点とする三角形をしていると考えればいい. 気管内チュ−ブの先端は声門を通過しても,その先で気管前壁に突き当たってしまって,それ以上進まないことも多い. 喉頭鏡で引き上げている力をゆるめることによって,気管内チュ−ブと気管が直線に近付く. それだけではだめで,気管内チュ−ブを回転しながらしずかに進めてようやく気管内におさまることも多い.
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諏訪邦夫
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