電子版麻酔学教科書

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  1960年代のモニター #19
投稿者  諏訪邦夫
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投稿日時  2001年02月12日 14時57分
1960年代のモニター

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私は,1961年に医学部を卒業し,当時のルールで1年のインターン(虎の門病院)を済ませてから,1962年に麻酔の修業を開始しました.1963〜66年までMGHで過ごしています.

当時,1962年〜1965年頃のモニターのことを記載しておきます.


血圧(水銀柱をつかった間接式):これはだいたい測定していた.

測定は,コロトコフ音によるので,血圧が下がると聞こえなくなるのがふつうだった.

タイコスの針の動きでみる:オッシレーション法の原始的なもの.

1965年初頭にフィラデルフィア小児病院で,小児麻酔のトレーニングを受けた折りに習った.

聴診器:通常の形のもの.

食道聴診器は,1962年の東大にはなくて,1963年にMGHに行ってはじめて見た.

しかし,1963年にはMGHではルーチンには使っていなかった.

1965年頃から,特に小児に対してMGHではルーチン使用がはじまった.

プローブ部分は,気管内吸引のカテーテルにペンローズドレーンのゴムをかぶせ,
凧糸で両側をくくって,自作していた.
耳側のアタッチメントを病院の施設が作ってくれて,使いよかった.

EKG:手術室に1〜2台あって,特殊な症例に使用.この点は,MGHでも同じ.

体温計:水銀式の他に,電子式が手術室に1〜2台あって,特殊な症例に使用.
この点も,MGHでも同じ.

直接動脈圧測定:心臓手術は全例使用.他に,特殊な症例にも使用していました.またMGHでは血液ガス測定の研究が盛んで,その目的で動脈カテーテルを入れていることもあった.
1962年頃の日本には,カテーテル式の留置針がなくて,鉄製のクールナン針を肘に留置するか,心臓手術では大腿上部を切開して大腿動脈の枝に留置していた.また,トランスデューサーを使わずに水銀まのメーターにつないで,平均動脈圧を読んでいた.
1966年に日本に戻ってみると,カテーテル式の留置針(八光社のもの)が出来ていたが,動脈に入れる技術が完成しておらず,成功率は低かったのが事実である.


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諏訪邦夫

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 1960年代のモニター - 諏訪邦夫 [#19] 2001/02/12 14:57



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