分圧と張力
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「血液の酸素分圧」というような意味の「分圧:partical pressure」の代りに「張力:tension」を使用することがある.英語でも日本語でもそうである.ありがたいことに,最近は急速に減少して見掛けることが少なくなったので,気にする必要がないかも知れない.
[習慣] 双方使用する.以前は,「張力」をよくつかったが,最近は分圧の使用が圧倒的に多くなった.
[規定] 学会用語などの規定では分圧であるが,張力の使用を許している場合も多い.
[理屈] 分圧と張力は,そもそも物理学上の定義がまったくことなっている.
分圧=力/面積(単位面積あたりの力) 張力=力/長さ(単位長 あたりの力) である. 分圧は「圧」であるから,「酸素分圧」などを「張力」と呼ぶのはあやまりである.これに対して, 「表面張力」などは,単位長あたりの力で表現するから“張力”で正しい. そういう理論的な問題も,張力を分圧の意味に使わなくなった理由の一つであろう.
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諏訪邦夫
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