肝障害の評価と麻酔
-------------------------------------------------------------------------------- 薬物代謝と肝機能障害 重篤な肝機能障害があれば麻酔に使用する薬物の作用が障害される. 麻薬系鎮痛薬をはじめとして,持続ないし反復投与する薬物は,何れも作用が遷延する.サクシニルコリンの作用も遷延するが,これは血漿コリンエステラ−ゼが減少するからと説明されている. 一方,非脱分極性筋弛緩剤はききにくくなることがある.二つの説がある.
局所のアセチルコリンエステレース活性が低下するからという説 反論:局所のアセチルコリンエステレースは肝由来ではない.しかし,間接には肝機能依存かもしれない? 血漿の蛋白分劃の組成がかわって,蛋白結合分が多くなるからという説双方の因子が働くものと推定する. ハロセンと肝障害
ハロセンがすでに障害されている肝を一層障害しやすいという証拠はない.したがって,積極的な適応があれば使用してもよいが,ハロセンの絶対適応ということはまず考えられない.しかがって,通常は念のためハロセンは避けてアイソフルレンを選ぶ. 麻酔の面から処置の可能なことはあまりない. 循環動態の維持と血液の良好な酸素化をはかることはもちろんである.
キーワード:サクシニルコリン,麻薬,非脱分極性筋弛緩剤,ハロセン,アイソフルレン
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諏訪邦夫
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