電子版麻酔学教科書

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  手術台から運搬車へーーひとり10kgの原則 #25
投稿者  諏訪邦夫
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投稿日時  2001年02月11日 17時04分
手術台から運搬車へーーひとり10kgの原則

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手術と麻酔が終了して手術室から回復室への移動に際しては,一般には患者を手術台から運搬車に移す必要がある.

肥満患者・身体の大きな患者では一仕事である.

おなじ「重い」患者でも,筋骨隆々で大きくて重い患者と,肥満で重い患者とでは後者の移動のほうが大変である.前者では「手がかり」がしっかりしているのに,後者では「のれんに腕押し」的でぐにゃぐにゃして持ちにくいからである.

下の二つのルールが有用.


移動の際に便利なようにあらかじめ布を敷いておく.
経験的に一人10kgまではうまく移動できる.したがって,患者の体重を10でわった人数を集めて移動する.
蛇足:

1992年夏に,180kgの患者が全身麻酔を受けたことがありました.18人で持つことは不可能で,この時はローラーを使用しました.
手術室で働く人は,腰を大切に!

これは本当の話:ある日のこと.大きな患者さんの手術が終了して抜管して,さて運搬車に移そうというところで,「こんな重い患者は動かすのが大変だよなあ」とか話していたら,麻酔から醒めたばかりの患者がむっくり起き上がって,となりの運搬車に自分で移動しました.口で動かしたように感じました.1994年4月27日のこと,手術は耳下腺腫瘍切除でした.

1996年秋から,市原の帝京大学市原病院に移りました.そこでは,運搬車がそのまま手術台になるタイプのものを使用します.患者を術後に運搬車に移すのは,回復室から病室に帰る時になるので,少し楽です.ただし,この手術台には他の欠点がありますが.


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諏訪邦夫

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 手術台から運搬車へーーひとり10kgの原則 - 諏訪邦夫 [#25] 2001/02/11 17:04



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