回復室で血圧が上がったら
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回復室での血圧上昇は,血圧下降とは逆のメカニズムであるが,処置はなかなか厄介である.
血液ガスをチェックしてハイポキシアと炭酸ガス貯留のないことを確認. 体温の異常のないことも確認する. 患者の意識状態に著変はないか?
原因 麻酔の覚醒による交感神経系の緊張昂進・筋肉活動の開始・ふるえなど. 頻度的には,これが断然多い. 脳圧昂進に対する脳乏血反応として この場合は脳圧を下げてから血圧を下げる処置を行う. その他,特定臓器や受容体への血流が障害されて,それに対する反応の場合もありうるので,注意を要する. 褐色細胞腫の頻度は,われわれが感覚的に捉えているよりはずっと多いらしい.手術室や回復室で発見された報告もある.発作性,変動性なら考慮してよかろう.カテコールアミンの定量など.
使用薬: メトブロミン(5mgずつ分割静注):もう使わない. アプレソリン(10mgずつ分割静注):これも使わない. クロ−ルプロマジン(1mgずつ分割静注) ふるえにも有効だが,投与必要量の個人差が大きいので今は使わない. ニトログリセリン:作用時間が短いので,通常は点滴で使用する.オイントメントも便利である.
Ca拮抗薬のニフェジピンやニカルジピンを使うのが,現在の標準であろう. 理由: 作用が適切で,特別強くも弱くもなく,作用時間も15〜30分程度で,点滴で持続投与する必要がなく,ボラスで使用できる. 参照:Ca++ブロッカー
Kチャンネル開口薬:ニコランジルがそうだが,これは降圧作用もあるが,むしろ冠状動脈への血流増加を狙って投与するので,単純な降圧とは異なる. 参考:ニコランジル(K 開口薬)
この他に,プロスタグランディンもあるが,費用から考えて特殊な条件に限定するのが妥当だろう.
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諏訪邦夫
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