血液ガスの測定
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血液ガスの測定
[対象と装置] 大手術・長時間手術・特に開胸手術や心臓手術,肺疾患患者・肥満患者など:原則として動脈採血による動脈血分析.時に毛細管血や静脈血の分析も.分析は電極法.
[施行法と結果] pH・Pco2 値とPao2 値とは解釈が異なる.麻酔時は特に後者が大切.Fio2 との兼ねあいで呼吸機能を判定すると同時に全身への酸素の供給を確認する.
[判定と問題点] 酸素の供給のためには安全率もみこんでPao2>100mmHgのこと.肺が良好に働いていることを確認できるのはPao2 /Fio2の比が400以上.すなわち0.33(33%)なら140以上.
血液ガスと電解質などの正常値 全血を対象として,そのPo2 ,Pco2 を測定することを「血液ガス測定」という.語義の上では血液ガスではないがpHもこれに含める.Pco2 との関連が深いし,測定も殆ど同一の方法で可能であり,実際の測定器にも組みこまれている. 動脈血を対象とする頻度が高い.この場合は身体全体の状況と同時に肺の状態の検索パラメーターとしての意味を持っている.静脈血で測定を施行する場合は潅流臓器の状態を反映する. pH,Pco2 ,Po2 の他に[CO2],[HCO3],Base Excess,酸素飽和度などを計算して報告することも多い. Base Excessの計算にはヘモグロビン濃度の測定が必要.
[装置] 電極法による.基礎は1950年代にでき,1960年代に市販装置がひろまりはじめて臨床研究の装置としての使用が確立し,1970年代になって全自動装置ができて臨床機器として確立した.
[現在の動向] 装置に関してはいくつかあたらしい動きがみられる. 小型化とメンテナンスフリー化:装置を極端に小型化・簡略化し,さらにメンテナンスを簡単にして,ICUや手術室の狭い場所で使えるものが市販されるようになった. 血管電極によるオンライン化:光電極というやや異なる原理のものを直接血管内に挿入する装置が一種のブームになっている.ただし,普遍的なモニターとして確立するかは未知数.
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諏訪邦夫
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