アレンのテスト
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[意味と用途] 橈骨動脈と尺骨動脈との吻合を確認するテスト.橈骨動脈にカテーテルを挿入する際には,カテーテル挿入中も抜去後もその血流が悪化する危険性がある.尺骨動脈との吻合が確立していれば,橈骨動脈が閉塞しても手の血流は尺骨動脈から供給されるが,吻合がない場合は拇指側の血行障害の危険がある.
[テストの施行法] 橈骨動脈を閉塞しても尺骨動脈から手全体に血が流れることを確認する. まず患者に手を強く握らせ,この状態で術者が橈骨動脈と尺骨動脈とを強く圧迫して血流を止める. 患者の手を開かせると,手掌は白くなって血の気がなくなっている. ここで尺骨動脈の圧迫をとると尺骨動脈の血流は再開する.手全体が赤みを帯びるなら吻合は完全だが,橈骨側の色がよくならなければ吻合はよくない. 麻酔中などで患者の意識がない場合は,施行者が患者の手を握って圧迫する.
[解釈] だいたい15秒が基準ということになっているが,怪しければ避けた方が無難である. ほんとうに健常な場合は,15秒どころか5秒もかからない. このアレン氏の論文は1929年に発表されており,本来はカテ−テルの挿入とは無関係である.(Allen EV. Thromboantigin obliterans:Method of diagnosis-- Am J Med 178:237-244.1929.)
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諏訪邦夫
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