麻酔薬と脳血流,Pco2 と脳血流
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脳血流の正常値: 脳血流の正常値は,50ml/100g(脳組織)/分である.麻酔で少し減少する.
脳酸素消費量の正常値: 脳酸素消費の正常値は,3ml/100g(脳組織)/分である.麻酔で20%程度減少する.なお全身の安静時酸素消費量は,3.5〜4ml/kg/分である.脳は約10倍近い代謝を有することがわかる.
各種麻酔薬 笑気: 作用なし ハロセン: 脳血流増加の作用,Paco2 依存性を低下 アイソフルレン: 脳血流増加の作用は弱い.Paco2 依存性を低下する作用も弱い. フェンタニル: 作用なし. そのために最近では脳神経外科の麻酔に好んで適用される. 各種筋弛緩薬: 顕著な作用のあるものは知られていない. その他の薬物 Caブロッカー:強い脳血流増加作用あり.脳神経外科医は好まない.
その他の生理的パラメ−タ− 低体温: 脳血流を減少させる.体温による代謝の低下にほぼ一致する. Paco2 : Paco2 20〜60mmHgの間で, ほぼ直線的(比例)に脳血流を変化させる. Paco2 <20mmHg以下では,脳血流低下の度合いは低下する. しかし,なお低下する. Paco2 >20mmHg以上では,脳血流増加の度合いは低下する. やがて低下に転ずる.脳圧亢進による要素もある.
体外循環: 脳血流はPaco2 依存性である. 実際には,血圧が低下して,脳血流が血圧依存の領域で働くことも稀でない. 低体温も複合するので複雑である.
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諏訪邦夫
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