電子版麻酔学教科書

  [総目次へ] [戻る] [目次へ] [キーワード検索]
  麻酔薬と脳血流,Pco2 と脳血流 #45
投稿者  諏訪邦夫
URL  
投稿日時  2001年02月10日 21時48分
麻酔薬と脳血流,Pco2 と脳血流

--------------------------------------------------------------------------------


脳血流の正常値:
脳血流の正常値は,50ml/100g(脳組織)/分である.麻酔で少し減少する.

脳酸素消費量の正常値:
脳酸素消費の正常値は,3ml/100g(脳組織)/分である.麻酔で20%程度減少する.なお全身の安静時酸素消費量は,3.5〜4ml/kg/分である.脳は約10倍近い代謝を有することがわかる.

各種麻酔薬
笑気:
作用なし
ハロセン:
脳血流増加の作用,Paco2 依存性を低下
アイソフルレン:
脳血流増加の作用は弱い.Paco2 依存性を低下する作用も弱い.
フェンタニル:
作用なし.
そのために最近では脳神経外科の麻酔に好んで適用される.
各種筋弛緩薬:
顕著な作用のあるものは知られていない.
その他の薬物
Caブロッカー:強い脳血流増加作用あり.脳神経外科医は好まない.

その他の生理的パラメ−タ−
低体温:
脳血流を減少させる.体温による代謝の低下にほぼ一致する.
Paco2 :
Paco2 20〜60mmHgの間で,
ほぼ直線的(比例)に脳血流を変化させる.
Paco2 <20mmHg以下では,脳血流低下の度合いは低下する.
しかし,なお低下する.
Paco2 >20mmHg以上では,脳血流増加の度合いは低下する.
やがて低下に転ずる.脳圧亢進による要素もある.

体外循環:
脳血流はPaco2 依存性である.
実際には,血圧が低下して,脳血流が血圧依存の領域で働くことも稀でない.
低体温も複合するので複雑である.


--------------------------------------------------------------------------------

諏訪邦夫

ご意見 編集(著者専用) 削除(著者専用)
 ▼関連ツリー 
  - 諏訪邦夫 [#44] 2001/02/10 21:48
 麻酔薬と脳血流,Pco2 と脳血流 - 諏訪邦夫 [#45] 2001/02/10 21:48



  [総目次へ] [戻る] [目次へ] [キーワード検索]
AmigoForum Ver1.05 Copyright© CGI DE AMIGO!! 2000