ブロックの範囲の判定法:綿球と針
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ブロックの範囲の判定法について,2,3の注意を加えましょう.
アルコール綿球と針のつかいわけ ブロックの範囲を判定するには,アルコール綿球でなでて“冷たい”と感じるかを聞く方法と,針やその他のとがったものでつついて“痛い”と感じるかを聞く方法がある. これは両方をつかいわける.ブロックが終わったところで,効果の開始を判定するにはアルコール綿球の方が有用である.温覚冷覚の麻痺は速度が速いからである.したがって,ブロックが効いてきたことを確認するにはアルコール綿球が有用である. これに対して,ブロックの度合い(深度または強度)が十分かを判断するには針のようなとがったものを使用するほうが間違いが少ない.針でつついても痛くなければ,ブロックが有効なことは確実である.温度覚は失われているのに,痛覚は残る例もない訳ではない.
針で正確につつくコツ 針で皮膚をつついてブロックの範囲を確認する際,上手に行なってほしい. 自分でつついてみせる 患者さんの前で,麻酔医が自分の皮膚をつついてみせる.これで,何を使用としているのかのイメージが患者にはっきりするし,同時に“あなただけを痛がらせているのではないのですよ”というデモンストレーションにもなる. 一分節を一回 皮膚の同じ箇所をチョンチョンと何回もつつくのはまったく無駄である.一箇所は一回つつけば十分である.したがって,最大限でも調べたい分節の数だけつつけば済む. 同じ力でつつく 大切なことは,同じ力でつつくことである.つよかったりよわかったりすると,珍妙な回答が返ってくることもある. 使うもの:針は使わない! 私は針そのものではつつかない.針のハブの部分とか,針を入れてある鞘とか,つまり一寸角張ったプラスティックの角のようなところを使うことにしている.
手術の部位が大切 当然のことながら,手術部位が一番大切で,そこがブロックされているかは念入りに調査しなければならない.
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諏訪邦夫
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