ヌペルカイン
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別名ジブカイン ヌペルカイン nupercaine
[化学と薬理] 作用時間の長い局所麻酔薬.作用時間の長さは,脂質との親和力が強い故とされる.但し毒性も大.軽度ではあるが,神経に対して不可逆的な障害を起すことがある.
[投与経路と量] 脊椎麻酔の主薬.各種神経ブロック・硬膜外麻酔の補助薬に.通常投与量は5mg,極量は10mg迄. 吸収が速く毒性も強いので大量に使用してはならない.
[作用と効果.副作用] 作用の開始も遅く,持続も4時間以上と長い.毒性が高いので脊椎麻酔以外には使用を控えることが望ましい.通常の局所麻酔薬は慢性痛に使用しても効果が持続しないが,ヌペルカインでは逆にこの性質を利用して,慢性痛などに使用する方法もある.
蛇足: 1)ヌペルカインを脊椎麻酔に使用する習慣は日本には根強くのこっている.しかし,文献的には“毒性”“不可逆性の作用”の報告が多く,世界的には使用しない方向に向かっている. 2) この項目の記述で,ヌペルカインを「エステル型であり代謝は速い」「血漿コリンエステラーゼで分解される」としていた以前の版の記述はいずれも誤りである.指摘して下さった岩手医科大学の原田一穂先生に感謝します.
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諏訪邦夫
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