脊椎麻酔のやり方と注意
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[準備と使用薬剤] 消毒液を手に付けないこと.消毒液はすべて神経毒だから,この注意は他の処置の場合よりも厳しい.
テトラカイン10〜13mg ブピバカイン15〜20mg ヌペルカイン0.3%溶液で2〜2.5ml 状況により増減するのはもちろんである. 針は細いほどよいので,通常は#25を使用する.
[施行] 脊柱の後屈が大切.側屈を起さないように. “できるだけ丸くなる”ように要求してもいいが, “背面が垂直になるように”と患者に注文しても,患者は理解できない.身体を丸くした時に,背中がどちらに傾くかのイメージを患者はもっていない.患者が傾いている分は,施行する側が補正する. 正中線上に正確に刺入する. 矢状面を正確に進む. 深さは,普通の日本人で4cm位.6cmを越えるのは稀である.
[患者が電撃痛を訴えた場合] 針が神経根に当たっているのだから,針の位置を変える.
[うまくいかない場合の解決法] 穴布を用いている場合は外す.そうすると全景が見えてやすくなる. 患者を起こして,座位をとらせる.左右に曲がりにくく,正中を正確に進みやすくなる. 手をかえる(施行者を交代する) うまくなれば強い後屈は不要である (針のとおるスペースのみ必要:ブロックの権威と議論した時,彼が“You need a hole, but you don't need a big hole”と言い放った!) テトラカインとヌペルカイン ヌペルカインの項目でも述べたように,ヌペルカインは不可逆的な障害を起こす可能性が確認されている. テトラカインに切り換えることが望ましい.テトラカインの欠点は,日本では粉末の製剤しかなくて,溶解の手間が一段階余分に必要な点である. 細いクインケ針は穿刺後の頭痛は少ないが,失敗率が高いという論文が最近出た.
Lynch J, Arhelger S, Ernst IK. Post-dural puncture headache in young orthopaedic in-patients: comparison of a 0.33 mm(29-gauge) Quincke-type with a 0.7 mm(22-gauge) Whitacre spinal needle in 200 patients. Acta Anaesthesiol Scand 36 (58-61) 1992
ただし,この論文は針の太さが違いすぎて,比較には異論もでるだろう.クインケ針というのはふつうの斜面型の針,ウィタカ針というのは鉛筆の針のような形の針.
キーワード:正中面,矢状面
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諏訪邦夫
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