電子版麻酔学教科書

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  腕神経叢ブロック(斜角筋間アプローチ) #13
投稿者  諏訪邦夫
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投稿日時  2001年02月09日 22時25分
腕神経叢ブロック(斜角筋間アプローチ)

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 腕神経叢が前斜角筋と中斜角筋の間からでてくる,という単純な事実から,ここへ薬を注入する.


刺入点:
輪状軟骨と胸鎖乳突筋の後縁の交点
この交点を,前後に動かすと,斜角筋間溝が良くわかる.
頭を上げさせる,とくに頭を抑えて力に抗させると,この溝が良くわかる.
鼻をつまんで,“クンクンさせる”と,全中両斜角筋が収縮弛緩を繰り返すので分りやすい.

刺入の方向:
前額面に対して少し後ろへ向かう.体軸に対して少し尾側へ向かう.

Paresthesia のうったえ
放散するParesthesia かないまま注入すると,有効の可能性は高くない.
Paresthesia の放散部位は肩か上腕に向かえば充分という考え方と,親指にいくべきだ,という主張とがある.
前者でも鞘の中にあることは確実なので,局所麻酔薬の量を多く使えば必ず効く.しかし,なるべく少量で効かせるためには,下の方に Paresthesia が出た方が確実である.

薬物の量:
沢山必要.1%メピバカイン30ml
長時間効かせたければ,0.5%ブピバカインを使用する.

蛇足:
上肢の手術を全身麻酔で行なっている時に,麻酔下で施行してみるとよい.もちろん Paresthesia は得られないが,全身麻酔薬の使用量から効果がわかる.こうして慣れておくと,単独にも使える.このブロックは簡単なのでこうしたやり方が容易である.もちろん,それなりの危険は避けられないが.
Raj PP. Handbook of Regional Anesthesia. Churchill Livingstone, New York. 1985.

他の方々と異なり,筆者は腋窩ブロックが下手で,こちらを得意にしている.


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諏訪邦夫

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