サイオペンタルとは
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サイオペンタル thiopental 1204
概念: 作用のみじかいバルビツレート薬の代表.局法名は「チオペンタール」 商品名は,ラボナール,チオバール 1940年代から40年余の寿命を保つ.サイアミラルもほぼ同一の薬.
使用: 麻酔の「導入」に最も多く用いられる. 就眠は30秒程度と迅速で,しかも快い. 投与量:4mg/kg.
薬理と臨床薬理と問題点: 心筋や血管に対する直接抑制も,血管運動中枢に対する抑制も強い. 換気も強く抑制する.
注意: 心機能障害や循環血液量の低下のある患者では,投与と同時に著しい低血圧や心停止を起す可能性がある. 難溶性なのでNa塩として供給されるためpHは10と高く,動脈に注入すると強い血行障害をおこす.
絶対禁忌:ポルフィリア(特に急性間歇性型)には絶対禁忌.
ニュース: 1997年夏,この薬品を40年間製造してきた田辺製薬が,「採算がとれないので製造販売を打ち切る」と宣言した.動向は不明だが,等力価で比較して サイオペンタル 350円 プロポフォル 2500円
位の差がある.プロポフォルには,サイオペンタルにはない特徴はあるが,そうかといって圧倒的に優れている訳でもない.廉価で使いやすくて,知識とノウハウの確立している薬物を追放することになるとすれば,国策の誤りである.
キーワード:バルビツレート,barbiturate,ポルフィリア,麻酔導入薬
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諏訪邦夫
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