プロポフォル
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化学: ディイソプロピル フェノール pKは11であり,pH7.4ではまったく解離していない.脂質溶解度が非常に高い.水溶性は低いのであの“あぶらっぽい”溶煤で供給されている.
薬理学と作用: 急速に中枢神経系に入り,急速に消失する.
ファーマコキネティクス: 他の臓器への再分配が非常に急速である.肝臓での代謝は急速だが,急速な覚醒はこれでは説明できない.
副作用: 呼吸と循環の抑制は深刻. 老人では半分以下
商品名:ディプリバン
注意: 上記のような副作用があるので,適応は厳重にする.
使用法と状況: 導入 1.5〜2.5mg/kg 維持 ボラス の場合:25〜50mgずつ.反応をみながら追加 持続投与の場合:6 〜12mg/kg/時間ずつ.
注意: 静脈注射はゆっくり(注射部位の痛み) 低血圧がおこる 心機能低下・循環血液量低下では特につよい.
註: 1992年10月の時点では,この薬物は日本では認可になっていない.やがて認可されることは確実であるが,どれだけ確立し普及するかは不明の要素も残っている.日本の麻酔臨床が欧米と異なる部分が多い点も,プロポフォルの普及にどのように作用するかが興味深い. 1997年の時点で,麻酔科医の間にはプロポフォルの使用がかなり広まっている.症例数の比でも1/3から半分に近づいているかも知れない.プロポフォルは高価なので,その出荷額はサイオペンタルの出荷額を越えた. サイオペンタルの項目で述べたように,そちらの製造が中止となれば,プロポフォルの使用量はさらに大きく延びるだろう.経済的には,まったくムダなことである.
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諏訪邦夫
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