電子版麻酔学教科書

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  プロポフォル #11
投稿者  諏訪邦夫
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投稿日時  2001年02月09日 21時40分
プロポフォル

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化学:
ディイソプロピル フェノール
pKは11であり,pH7.4ではまったく解離していない.脂質溶解度が非常に高い.水溶性は低いのであの“あぶらっぽい”溶煤で供給されている.

薬理学と作用:
急速に中枢神経系に入り,急速に消失する.

ファーマコキネティクス:
他の臓器への再分配が非常に急速である.肝臓での代謝は急速だが,急速な覚醒はこれでは説明できない.

副作用:
呼吸と循環の抑制は深刻.
老人では半分以下

商品名:ディプリバン

注意:
上記のような副作用があるので,適応は厳重にする.

使用法と状況:
導入 1.5〜2.5mg/kg
維持 ボラス の場合:25〜50mgずつ.反応をみながら追加
持続投与の場合:6 〜12mg/kg/時間ずつ.

注意:
静脈注射はゆっくり(注射部位の痛み)
低血圧がおこる
心機能低下・循環血液量低下では特につよい.

註:
1992年10月の時点では,この薬物は日本では認可になっていない.やがて認可されることは確実であるが,どれだけ確立し普及するかは不明の要素も残っている.日本の麻酔臨床が欧米と異なる部分が多い点も,プロポフォルの普及にどのように作用するかが興味深い. 1997年の時点で,麻酔科医の間にはプロポフォルの使用がかなり広まっている.症例数の比でも1/3から半分に近づいているかも知れない.プロポフォルは高価なので,その出荷額はサイオペンタルの出荷額を越えた. サイオペンタルの項目で述べたように,そちらの製造が中止となれば,プロポフォルの使用量はさらに大きく延びるだろう.経済的には,まったくムダなことである.


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諏訪邦夫

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 プロポフォル - 諏訪邦夫 [#11] 2001/02/09 21:40



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