電子版麻酔学教科書

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  アイソフルレンとは #29
投稿者  諏訪邦夫
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投稿日時  2001年02月09日 21時02分
アイソフルレンとは
イソフルレン,イソフルラン isoflurane
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歴史:
1970年代はじめに臨床治験が行なわれ,麻酔薬としての有効性は確立した.しかし,発癌性が疑われて正規の認可にいたらず使用が中断した.1980年頃から諸外国で優秀な性質をもつことが報告された.日本では1990年頃より使用.急激に普及している.

物理と化学:
化学構造はCF3CHClOCF2Hというエーテル構造で,エンフルレンの同素体である.常温では液体で,飽和蒸気圧は約1/3気圧

MAC:
MACは約1.1%で,ハロセンより少し弱く,エンフルレンやセヴォフルレンよりはずっと強い.

使用法:
通常は笑気67%にアイソフルレン0.3〜2%を加える.

利点:
導入,覚醒が迅速だが,ハロセンには及ばない.
筋弛緩が強い.
カテコールアミンとの併用は,ハロセンよりずっと安全
イソフルレンの最大の利点は,化学的な安定性にある.従って肝障害の報告もない.その他の臓器毒性も低い.
循環系への抑制が少なく,血圧も心拍数もむしろ増加する.交感神経を刺激することによるらしい.

欠点:
反射の抑制力はハロセンにおとる.
呼吸の抑制はつよい.自発呼吸での維持はむずかしい.
頻脈を起こす.
導入は気道刺激性が強く,スムーズでない.小児で吸入麻酔で導入することは不可能ではないが,むずかしい.

蛇足:
日本の正規の名前はイソフルラン.薬物の仮名書きを規定したルールがあり,基本的にドイツ語読みに近い.

キーワード:交感神経を刺激する麻酔薬,


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諏訪邦夫

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