アイソフルレンとセヴォフルレンの使い分け
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最近の吸入麻酔薬の中心は,アイソフルレンとセヴォフルレンである.ハロセンとエンフルレンの場合と比較して,両者には明確な差がある.使い分けも薬理というよりは,薬効・副作用・ファーマコキネティクスに依存する.
アイソフルレンを選ぶ状況
麻酔の維持 長時間の麻酔 徐脈(アイソフルレンの頻脈作用を利用) 喘息 喉や頚部の手術はハロセン. 小児もハロセン. 自発呼吸に維持したい麻酔もハロセン. 緩速導入もハロセン. 痙攣の既往歴や危険性のある場合もハロセン.
セヴォフルレンを選ぶ状況
麻酔の導入とくに吸入麻酔での導入 セヴォフルレンは速度が速いだけでなくて,患者からみて吸いやすい. ハロセン・エンフルレン・イソフルレンの三者より優れている. 短時間の麻酔:すぐ醒める 頻脈(アイソフルレンの頻脈作用を避ける) したがってアイソフルレンで頻脈で困る時にセヴォフルレンに切り換える. 喘息への優位性は証明されていないが,多分大丈夫である. しかし,アイソフルレンのように,「喘息を治療する作用」はないだろう. アイソフルレンを避ける条件
頻脈あるいは頻脈をさけるべき条件 これによる緩徐導入はむずかしい(不可能ではない) セヴォフルレンを避ける条件
長時間使用:代謝量が多い. 肝障害:最近,代謝物の肝障害作用が注目を浴びているようである. そうは言いながら,最近では「何でもセヴォフルレン」になってきた.
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諏訪邦夫
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