電子版麻酔学教科書

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  挿管は悠然と行なう #26
投稿者  諏訪邦夫
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投稿日時  2001年02月03日 12時55分
挿管は悠然と行なう

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 何十年か前の導入法と比較すると,現代の麻酔法は挿管手順がいろいろと変っているのに,昔のままの方法が残っている部分がある.

 その一つが,挿管にちょっとてこずると,あわてて喉頭鏡を抜いて,マスクにもどる点である.


[行なうべきこと]
挿管がちょっとむずかしくても,あわてて喉頭鏡を抜いて,マスクで換気して,あらためて喉頭鏡を入れ直す,という操作は必要ない.
喉頭鏡は抜かずに,もっと,時間をかけて,喉頭鏡の位置を換えたり,頚の形を換えたり,気管内チュ−ブにスタイレットを入れ直す余裕がある.

[余裕のある時間]
導入前の酸素化(いわゆる“ Preoxygenation ”)をしっかり施行しておけば,少なくとも5分程度,平均7分から8分は安全!

[パルスオキシメーター]
しかも,パルスオキシメーターをつけておけば,安全時間は統計でなくて個々の患者,個々の状況でわかる.

[なるべく一回で挿管すべき理由]
喉頭鏡を抜いてマスクでパカパカやって,あらためて喉頭鏡をかけなおすのは障害が大きいので,なるべく避けるべきである.
喉頭鏡を挿入する刺激
麻酔薬や筋弛緩薬がきれる
気道内分泌物が増加して,吸引が必要になる頻度が高い
胃にガスの入る可能性が増加する

[蛇足]
昔は導入前の酸素化“ Preoxygenation ”の施行があまかった.もちろん,パルスオキシメーターはなかった.だから,ハイポキシアをもっと恐れる必要があったのである.

[文献]
Gambee AM et al A&A 66:468.1988.


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諏訪邦夫

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