麻酔の安全とモニタ−:東京大学版
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東京大学医学部麻酔学教室での基準はハーバードのそれとほぼ同一であるが,回路の接続アラームは完備していない.
[心掛けるべきこと,とくに誤解しやすいこと,忘れやすいこと]
麻酔中は常時麻酔医が存在:たとえ1分間といえども手術室をでることは許されない. 呼吸と循環の連続モニタ−:“連続”というのがミソ 呼吸:脊椎麻酔や硬膜外麻酔の時も“麻酔回路+ゴムのマスク”でバッグの動きをみること.プラスティックのマスクの使用は“絶対に”不可! 循環:心音(食道聴診器使用),動脈波形,プレティスモグラフのどれか一つ. 回路の酸素濃度:濃度計は必ずついている.スイッチを入れるのは君の責任だ! [お薦めしたしたいこと]
麻酔の導入の前に,十分に酸素を与える.この際に ゴムのベルト(“Head strap”)でマスクを固定する.麻酔医は手が明いて他の仕事がしやすい. マスクは密着させる.肺の酸素は急速に100%に近づく.(遠くから翳しているだけでは,空気よりすこし濃くなるだけ). 万一,気管内挿管が難しかったり,食道に入ったりしても,安全の度合いが非常に違う.空気でスタートすれば安全は30秒だが,純酸素でスタートすれば5分も安全. 麻酔回路のもれや,不具合を事前に発見できることがある. マススペクトロメーターの回路をこの時点でつないで,スイッチを入れる.通常のように挿管して,しばらくたってからつなぐのは大切な情報を無駄にしてもったいない. ・脊椎麻酔や硬膜外麻酔で鎮痛薬・鎮静薬を併用する場合は,麻酔回路で酸素投与. (麻酔回路で酸素投与は常時であるが,鎮痛薬・鎮静薬を併用する場合は,特に重要である)
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諏訪邦夫
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