電子版麻酔学教科書

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  麻酔器のワークステーション化 #6
投稿者  諏訪邦夫
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投稿日時  2001年02月03日 08時56分
麻酔器のワークステーション化

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麻酔器は基本的にはワークステーションになる.つまり
アラームの統一とレベル化,規格化,インテリジェント化
麻酔器と人工呼吸器の電子化
現在の麻酔臨床の中で,麻酔器が“機械として”一番遅れている.
例えば,
 麻酔器は,1990年の時点で,1960年のものと基本的に同一である.あいかわらず同じ

ロータメター型流量計と
温度補償型気化器
呼吸回路は,
一方向弁
二酸化炭素吸収装置
などがすべて機械式で,電気器具ではない.もちろん電子化されていない.
 1990年で,“機械式”の医療機器で(実は,生活機器でさえも)生き残っているものはごく少数である.
 このために,ガスの流量,投与濃度といった麻酔のもっとも基本のパラメーターが電子化されていない.したがって,自動記録も困難であり,これをパソコンで制御することも不可能である.
 これは全くおかしい.仕事の一番基本の部分を旧式な,電子化不能な手法に頼っているということは,

新幹線に蒸気機関車を走らせる
真空管でラップトップコンピュ−タを作る
ゼンマイ仕掛で人工心肺を動かす
ようなものである.

 これはモニターではないが,“モニター”という“出力をみる”ときに“入力の情報”は不可欠である.
 ところが,現在のシステムでは入力情報が電子化されていないので,論理的にも実際的にも大変に不便である.


コンピュ−タとの結合と将来への展望
自動記録
患者データのみでなく,麻酔の活動も自動記録.飛行機のBlack Box と同様な感じである.このためにも麻酔器の電子化が絶対的に必要.
音声認識入力
麻酔記録と患者記録全体との統合
 このためにも BUS の規格化が必要.IEEE P1073 Medical Information BUS このシステムは特に,麻酔器/人工呼吸器を賢くしてそれを中央コンピュ−タに結合することを前提としている.
 それによって,個々の麻酔器/人工呼吸器の製造業者がソフトウェアを書く必要がなくなる.
 つまりこのBUS でコンピュ−タをつなぐと,全てのモニタ−・麻酔器・人工呼吸器が接続されて,データを記録しアラームを発しということになる.


機械と人間との相互関係:機械に大幅に頼らざるをえない
モニターなしの麻酔や検査なしの医療

人間の本性との関係:
以上の主張は正しいとは考えるが,一方で人間は電気機器や電子機器よりも,純機会式の装置を信用したり,愛用したりする.
 それに,そのほうが停電とか地震といった状況でも,何とか動いてくれるというのも事実である.


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諏訪邦夫

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