麻酔器のワークステーション化
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麻酔器は基本的にはワークステーションになる.つまり アラームの統一とレベル化,規格化,インテリジェント化 麻酔器と人工呼吸器の電子化 現在の麻酔臨床の中で,麻酔器が“機械として”一番遅れている. 例えば, 麻酔器は,1990年の時点で,1960年のものと基本的に同一である.あいかわらず同じ
ロータメター型流量計と 温度補償型気化器 呼吸回路は, 一方向弁 二酸化炭素吸収装置 などがすべて機械式で,電気器具ではない.もちろん電子化されていない. 1990年で,“機械式”の医療機器で(実は,生活機器でさえも)生き残っているものはごく少数である. このために,ガスの流量,投与濃度といった麻酔のもっとも基本のパラメーターが電子化されていない.したがって,自動記録も困難であり,これをパソコンで制御することも不可能である. これは全くおかしい.仕事の一番基本の部分を旧式な,電子化不能な手法に頼っているということは,
新幹線に蒸気機関車を走らせる 真空管でラップトップコンピュ−タを作る ゼンマイ仕掛で人工心肺を動かす ようなものである.
これはモニターではないが,“モニター”という“出力をみる”ときに“入力の情報”は不可欠である. ところが,現在のシステムでは入力情報が電子化されていないので,論理的にも実際的にも大変に不便である.
コンピュ−タとの結合と将来への展望 自動記録 患者データのみでなく,麻酔の活動も自動記録.飛行機のBlack Box と同様な感じである.このためにも麻酔器の電子化が絶対的に必要. 音声認識入力 麻酔記録と患者記録全体との統合 このためにも BUS の規格化が必要.IEEE P1073 Medical Information BUS このシステムは特に,麻酔器/人工呼吸器を賢くしてそれを中央コンピュ−タに結合することを前提としている. それによって,個々の麻酔器/人工呼吸器の製造業者がソフトウェアを書く必要がなくなる. つまりこのBUS でコンピュ−タをつなぐと,全てのモニタ−・麻酔器・人工呼吸器が接続されて,データを記録しアラームを発しということになる.
機械と人間との相互関係:機械に大幅に頼らざるをえない モニターなしの麻酔や検査なしの医療
人間の本性との関係: 以上の主張は正しいとは考えるが,一方で人間は電気機器や電子機器よりも,純機会式の装置を信用したり,愛用したりする. それに,そのほうが停電とか地震といった状況でも,何とか動いてくれるというのも事実である.
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諏訪邦夫
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