気化器
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機能: 揮発性麻酔薬(ハロセン・エンフルレン・アイソフルレン・セヴォフルレン)を気化させてガス体として,吸入できる状態にする. 正確な設定濃度が出てくるように,様々な工夫がこらされている. 標準的な構造は『フルオテック』型で,これは気化器内部では飽和蒸気圧のハロセン(約1/3気圧)を得て,これをハロセンを含まないガスで希釈する.これによって,望む濃度のガスを作る. この際に,温度や全体の流量で濃度が変化しないように設計されている. 温度が変化しても濃度が一定になるように,バイメタルを用いて流量比を変えている.
問題点: 現時点では,各吸入麻酔薬毎に装置も異なるので,上記4種類の吸入麻酔薬には4種類の気化器が必要である. 万能気化器の開発が望まれる. 蛇足1: 現代の技術をもってすれば“万能気化器”の製作はきわめて容易である.使用者の受け入れも含めて,ビジネスとしての可能性から現状のままに進むだろう. この点もスウェーデンの会社が頑張って万能気化器を試作している.
蛇足2: セヴォフルレンとほぼ同時に開発されたデスフルレンは他の欠点もあるが,気化器も大きな欠点らしい.力価が不足するので気化量が多く,そのために電気を使用して外部から熱を供給せねばならない.現在のように,室温から熱をとって気化させるだけでは能率が悪すぎるらしい.この薬物の使用が限定される大きな要因のようである.
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諏訪邦夫
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