針1本と徒然草:“一発で成功”の意気込みで
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“失敗しても頑張る”と“一発で成功”するの使い分け 点滴を行なう時や,動脈を入れる時に,“一発で成功”の意気込みで行なうのが当然であり,そのように指導します.「下手な鉄砲も数打ちゃあたる」式に考えて,いい加減に行なわないように指導することにいろいろと腐心するわけです.
その方法はいろいろですが,徒然草のある章を引用して説得する方法もとります.私の言葉で「一発で成功しろ」というよりも,兼好法師の言葉の方が説得力があるのではないか,という考慮からの引用です.
内容はこういうものです.“弓を射る際に,初心者は矢を2本もってはいけない.2本あるからというので,一本目の矢を射る際に集中心に欠ける傾向があるーー”というのです.
原文はこうなっています.『初心の人,二つの矢をたばさむことなかれ.後の矢をたのみて初めの矢になおざりの心あり−−』.(徒然草:第92段)
いかがでしょうか.点滴や動脈の際にまさにあてはまる心得ではないでしょうか.
もちろん,実際面では“いくら失敗しても何とか頑張って最後に成功させる”という“頑張り”の要素も重要で,実際面でも評価しなくてはならないことはいうまでもありません.
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諏訪邦夫
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