電子版麻酔学教科書

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  象の鼻:蛇管つきのバッグ #13
投稿者  諏訪邦夫
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投稿日時  2001年02月12日 14時52分
象の鼻:蛇管つきのバッグ

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私がトレーニングを受けた頃のMGHでは,「象の鼻elephant nose 」と称する蛇管つきのバッグをルーチンに使用していました.麻酔用のバッグに,これも麻酔用の蛇管(循環回路の半分の部分)をつないだものです.

当時は,麻酔中の人工呼吸に人工呼吸器を使うのは比較的稀で,バッグを手で押して換気するのがふつうのやり方でしたが,麻酔器のバッグをそのままそうとすると,腕が同じ位置に固定しておくことになります.

この「手を固定しておく」のがつらいので,これを避けるべく考えだされたのが上記の装置で,これによって蛇管の長さの範囲内では手を動かせることになります.特に,MGHのホワイトの手術室では,当時は旧式のハイドブリンク麻酔器が標準で,バッグは床から70cmのところに下がっていましたから,これがなければ人工呼吸の継続が困難でした.

この「象の鼻」は,MGHと限らずアメリカでは他の施設でも何度かみましたが,日本ではほとんどお目にかかったことがありません.東大にも持ち込みましたが,普及はしませんでした.私は,自分用に作って,自分で麻酔する時だけ使用しましたが,他の人は使わないでいるうちに,現在のように人工呼吸器を使用するのがルーチンになり,手押しの人工呼吸そのものが行われなくなりました.



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諏訪邦夫

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