ヘクトパスカル:hPa
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1992年12月1日から,日本では気圧の単位をヘクトパスカルと呼ぶことになりました.“hPa”と書きます. 1hPaは,数値的には1mbar(ミリバール)と完全に一致します.大気圧の正常値は1013mbarでしたが,現在では1013hPaです. また,1mmHgは1hPaの1.333倍です.
たとえば,
血圧 100mmHg → 133 hPa Paco2 40mmHg → 53 hPa
です. hPaは,基本的には同じSI単位系の数値で,“キロパスカル:kPa”の1/10ですが,難物kPaに比較するとずっと採用しやすいと思います.私は好きです.理由は沢山あります.
mbarと数値が一致しているのが最大の利点です.mbarならある程度馴染んでいますものね. mmHgと同じ位の桁の数なので,有効数字が不変です. mmHgを整数で表現していた状況ならhPaでも整数で表現できて,小数点は不要です. これに関連しますが,Paco2 の正常値40mmHgはキロパスカルでは5.3 という小数を引きずって憶えにくかったでしょう? ヘクトパスカルなら53ですから,まあ憶えられますよね. あるいは,“Paco2 は50hPaが正常値”ということになるかもしれません. 数の歴史をみても,自然数や整数が何万年もの歴史をもつのに対して,小数の歴史はずっと短いものです.学習も,前者は幼稚園か小学校1年生で習いますが,後者はいつですか? 4年生位でしょうか? 換算が比較的容易です. 3/4倍または4/3倍すればいい.いずれも暗算が可能ですね.
例: 30mmHg → 40hPa 120hPa → 80mmHg キロパスカルには往生していましたが,これで楽になりますね.
実際上はどうかわかりませんが,一つだけ欠点が考えられます.手書きではhとkは見誤りやすいことです.
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諏訪邦夫
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