電子版麻酔学教科書

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  全身状態評価とASA分類 #40
投稿者  諏訪邦夫
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投稿日時  2001年02月03日 00時48分
全身状態評価とASA分類

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患者の全身状態の評価にはASA分類を使用する.これは複雑な患者の状態を,5つのランクに分けて無理に一本の軸にならべるためのスケールである. 当然欠点もあるが,麻酔医間,医師間での共通の尺度となるので有用性は高い. 心疾患患者のNYHA分類と考えかたも実際も類似している.実は,ASA分類は,NYHA分類を手本にして作られたものである.“ASA”とは「アメリカ麻酔学会」のこと.( American Society of Anesthesiologists ) この分類は「手術との兼ねあい」という尺度は入っていない.「患者の状態はよくないのだが手術が小さいから『リスクはよい』と評価しよう」という風には考えない. ただ患者の「全身状態」のみを分類する. 実際の評価法は表を参照のこと.
表 全身状態評価とASA分類

1度
手術対象となる疾患以外に,全身的に疾患がない.手術対象の疾患は局所的で, 全身障害を起こさない.
2度
軽度ないし中等度の全身疾患を有する.
3度
重篤の全身疾患を有する.
4度
重篤な全身疾患を有して,生命の危険な状態.
5度
死にかかった”状態で,生存の可能性はほとんどないが一か八かの手術を受ける.

 全身評価ではないが,患者の体型・口の開き方・肥満度・脊柱の触診などは挿管の難易や麻酔のプラン,脊麻・硬麻の可能性などに関係するので調べておくこと.
キーワード:共通の尺度,NYHA分類,リスク



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諏訪邦夫

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 全身状態評価とASA分類 - 諏訪邦夫 [#40] 2001/02/03 00:48



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