電子版麻酔学教科書

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  腎障害の評価と麻酔 #24
投稿者  諏訪邦夫
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投稿日時  2001年02月03日 00時33分
腎障害の評価と麻酔

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 腎障害と麻酔の問題を検討しよう.
腎障害と薬物排泄

軽度腎障害
クレアチニンとBUNがわずかに正常範囲を出ている程度の軽度上昇の腎障害は,薬物排泄に対して臨床的には影響しない.

高度腎不全


高度の腎不全患者では,種々の薬物の排泄が麻酔の経過に関係する.
特に重要なのは,筋弛緩薬である.クラ−レやパンクロニウムの排泄が障害されて遷延無呼吸の起りうることは証明されており,実際にも多数の臨床報告がある.
薬物を選ぶこと.つまり,筋弛緩薬のうちでも,腎機能に依存しない薬物を使用すること.
術中から四連法などで正確にモニタ−しながら使用すること.
Kイオンレベルとアシド−シス

腎不全患者でもうひとつ考慮すべきは,Kイオンのレベルとアシド−シスである.正常からあまり隔たっていると不整脈の原因となったり,非脱分極性筋弛緩剤の効果が遷延したりする.
[K+]は5.5mEq/L以下,動脈血pHは7.25以上が望ましい.これらは軽度なら手術直前でも補正が可能である.
サクシニルコリンは,僅かながら血清Kを上昇させることが判明しているので,こうした患者には注意して使用すること.具体的には,プレクラリゼーションを併用し,サクシニルコリンの量を少なくゆっくりと使用する.
術中腎機能と術後腎不全

術前の腎機能が正常であっても,手術の経過によっては術後に腎機能障害や腎不全が発生する.
術中は,腎血流を保持すること,尿をある程度だすことが必要である.1mg/kg/時を最低の基準とする.
尿量がこの量に達しない時は,ドーパミン,ラシックス,マニトールを使用して利尿をはかること.
 
キーワード:薬物排泄,非脱分極性筋弛緩剤,クラ−レ,パンクロ


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諏訪邦夫

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