電子版麻酔学教科書

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  肥満の評価と麻酔 #14
投稿者  諏訪邦夫
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投稿日時  2001年02月03日 00時23分
肥満の評価と麻酔

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肥満の病態生理と評価と麻酔
肥満患者は点滴が難しく,血圧が計りにくく,挿管も脊麻・硬麻も難しく,自発呼吸でも人工呼吸でも血液ガスが悪くなりやすい.勿論手術も難しく長時間を要する.
おまけに,手術終了後の運搬がむずかしい.
 “肥満は手術室の敵!”

肥満の評価と指数
もっとも汎用性が高い指数は
肥満指数(身長体重指数またはカウプ指数とも)
 体重(kg)/身長(m)/身長(m),つまり体重を身長で2回割り算する.(本当は身長の二乗で体重を割るのだが,電卓では2回割り算のほうが簡単)
 正常値は20〜22
 この指数は,電卓が必要なのが欠点だが,単純な式で皆が使うので比較しやすい.
 肥満指数で30以上の肥満は麻酔や術後に重大な影響がある.
身長150−−体重68kg
身長160−−体重78kg
身長170−−体重87kg
が指数30にあたる.


 肥満の病態生理:麻酔との関連で具合の悪いのは,

血液ガスが悪くなりやすい これは影響が大きい.
人工呼吸の困難
筋弛緩薬が効きにくい(筋弛緩薬は脂肪を弛緩させる作用はない)
術後の肺合併症も発生しやすい.
ハロセン肝炎との関係
などだが,
 冠状動脈障害や高血圧などの合併の方がさらに深刻である.
 アメリカと比較して日本で働くありがたさの一つは,極端な肥満が少ないことだが,それも少しずつ怪しくなってきている.
註:最近,肥満治療薬が発売された.サイノレックス(サンド薬品).


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諏訪邦夫

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 肥満の評価と麻酔 - 諏訪邦夫 [#14] 2001/02/03 00:23



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