肥満の評価と麻酔
-------------------------------------------------------------------------------- 肥満の病態生理と評価と麻酔 肥満患者は点滴が難しく,血圧が計りにくく,挿管も脊麻・硬麻も難しく,自発呼吸でも人工呼吸でも血液ガスが悪くなりやすい.勿論手術も難しく長時間を要する. おまけに,手術終了後の運搬がむずかしい. “肥満は手術室の敵!”
肥満の評価と指数 もっとも汎用性が高い指数は 肥満指数(身長体重指数またはカウプ指数とも) 体重(kg)/身長(m)/身長(m),つまり体重を身長で2回割り算する.(本当は身長の二乗で体重を割るのだが,電卓では2回割り算のほうが簡単) 正常値は20〜22 この指数は,電卓が必要なのが欠点だが,単純な式で皆が使うので比較しやすい. 肥満指数で30以上の肥満は麻酔や術後に重大な影響がある. 身長150−−体重68kg 身長160−−体重78kg 身長170−−体重87kg が指数30にあたる.
肥満の病態生理:麻酔との関連で具合の悪いのは,
血液ガスが悪くなりやすい これは影響が大きい. 人工呼吸の困難 筋弛緩薬が効きにくい(筋弛緩薬は脂肪を弛緩させる作用はない) 術後の肺合併症も発生しやすい. ハロセン肝炎との関係 などだが, 冠状動脈障害や高血圧などの合併の方がさらに深刻である. アメリカと比較して日本で働くありがたさの一つは,極端な肥満が少ないことだが,それも少しずつ怪しくなってきている. 註:最近,肥満治療薬が発売された.サイノレックス(サンド薬品).
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諏訪邦夫
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