パーキンソン病と麻酔
-------------------------------------------------------------------------------- 相対禁忌薬 錐体外路系に作用のあるもの,パーキンソン病を悪くする可能性のある薬物 ドロペリドル パーキンソン病につかうLーDOPAとカテコールアミンは相互作用があるので,カテコールアミンの使用には疑問がある.ただし,障害の証拠は不明確である. また,カテコールアミンに対する不整脈誘発を起こすハロセンも不可 同様な理由で,ケタミンも避けた方が無難. Nunn & Utting の General Anesthesia 5th Ed.(1989)には “この疾患の患者にサクシニルコリンを与えるとカリウムが上昇して危険だという議論があったが,現時点ではその危険は片麻痺患者の場合ほどは大きくないということになっている”と書いてある.シリーズでの検討で,安全との報告もある. 当然のことながら,この種の患者は“活発な日常生活を行なっている”とは考えにくいので,患者の全身状態と手術と術後ケアに携わる方々への負担は,通常の患者よりはずっと大きいはずである. 一般的な体調からくる問題 血圧の異常 体液バランス,交感神経系などはどのみち正常ではない. 呼吸器合併症の可能性 文献: Gravlee GP. Succinylcholine induced hyperkalemia in a patient with Parkinson's disease. ANESTH ANALG 59:444-446. 1980. コントロール不良のパーキンソン病患者にサクシニルコリン投与で,カリウムが高値になったという症例報告.
この疾患でも麻痺の患者と同様に筋肉の性質が変化してサクシニルコリンの使用によってカリウムが急増してトラブルが生ずる(早い話しが,心臓がとまる)危険性は“否定はできない”ということのようである.
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諏訪邦夫
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