電子版麻酔学教科書

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  高酸素による肺損傷のマーカーと薬物による修飾 #9
投稿者  諏訪邦夫
URL  
投稿日時  2001年02月10日 23時49分
高酸素による肺損傷のマーカーと薬物による修飾

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[目的]
高酸素による肺損傷を研究し,障害の指標(マーカー)を探す.さらに薬物でどう影響を受けるかを検索した.

[使用薬物と機器]
高濃度酸素環境に暴露して,事後に肺を検定する実験である.

[対象]ラット

[方法]
暴露時間は対象となるパラメ−タ−によって異なる.0時間〜60時間の各種.さらに,各種アンティオキシダント(下記)を投与.
測定パラメーターは
肺のホモジェネートで,ミトコンドリアの酸素摂取測定.
さらに,ミトコンドリアを純粋に抽出して酸素摂取を測定.
肺胞洗滌液のハイドロキシプロリンを測定.

[結果]
化学変化を三つ検索したが,その中の一つ(上の2番目)がラットでは優秀なマーカーであることが証明できた.
肺のホモジェネートで,ミトコンドリアの酸素摂取を測定すると,障害発現には酸素暴露24時間を要する.
ミトコンドリアを純粋に抽出して酸素摂取を測定すると,酸素暴露わずか3時間後で障害が検出できる.これまでの報告も総合して,これがラットでは最短である.
肺胞洗滌液のハイドロキシプロリンは漸増の傾向は見られたが,個体差が大きくて明確な変化は検出できなかった.
アンチオキシダントとして,N-アセチルしシステイン,ディメチルサルフォキサイド,アロプリノルはいずれもこの肺損傷を和らげる効果がある.

[結論]
ラットを高濃度酸素に暴露したときの死亡は肺損傷による.アンチオキシダント使用で治療できる可能性を示唆する.

An early marker of hyperoxic lung injury in the rat and its pharmacological modulation. O'Connell MJ, Snape SD, Nunn JF. BR J ANAESTH 66(6): 697-702. 1991.


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諏訪邦夫

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