心疾患の麻酔:最近の進歩
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モニター 食道エコー
弁置換手術後の弁の動きがすぐに見える.だめならすぐにもう一度ポンプを回して手術をやり直す. 同じことを先天性心疾患の手術にも. 冠状動脈疾患に関しては,心筋の局所の動きの解析. 心臓や大血管の空気も鑑別できるので,体外循環回路に空気が入って塞栓を起す危険も防止できる.
EKGのコンピュータ解析
STの微妙な変化を検出する.
薬物 Esmolol(エスモロル):short acting, selective β1ブロッカー,半減期は9分,赤血球のエステレースで分解される. Labetalol(ラベタロル):βブロッカーでα刺激作用,作用が長いので周術期での使用は? Amrinone (アムリノン):Phosphodiesterase III の抑制薬.cyclic AMP を増量する.したがって,心筋の変力性増加.血管拡張.この作用はβ受容体を経由しないので,β刺激薬と組み合わせて有効.
論争 下のテーマは有効と考える理由も大きいが,それほどでもないとの主張も強い. 脳波が有用か.
体外循環時の脳血流や脳の酸素化の度合いは「何とかモニターしたい」という意見は一致している. EEGがその解決になるか否かは不明である. CPB時にバルビチュレートを使用して脳保護を行うか 使用すれば,たしかに合併症の抑制にはなるようだが 脳塞栓などでの検出が困難になるという反対もある. イソフルレンを冠状動脈疾患患者に使用するか Steal による局所障害の可能性 心臓手術にスワン・ガンスカテ−テルを使用するか ルーチンの心臓手術患者ではスワン・ガンスカテ−テルを使用してもとくにメリットはない,という意見.
Moore RA. Cardiovascular anesthsilogoy. Making inroads and new roads. ASA newsletter 54(4):11-14. 1992
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諏訪邦夫
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