電子版麻酔学教科書

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  ヘルニア手術で麻酔覚醒時に糸の切れた症例 #23
投稿者  諏訪邦夫
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投稿日時  2001年02月11日 00時01分
ヘルニア手術で麻酔覚醒時に糸の切れた症例

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症例:
69歳 M 身長 160 cm 体重 53 kg :この年齢の割にはやや筋肉の発達している男性.

診断:
両側鼠径ヘルニア:約2−3月前に発生.

既往症:高血圧.

手術:
両側鼠径ヘルニア形成術

麻酔:
脊椎麻酔→全身麻酔

9時00分.脊椎麻酔L3-4
0.5 % テトラカイン(バランス10%G/W)2.5ml(12.5mg)を入れる予定
少し漏れた言っている.
麻酔担当医師は経験約1月の外科医師で「10mgは入ったと思う」と
麻酔レベルはやっとT11迄.
9:30手術を開始
右側のヘルニア施行中に患者がいたがって手術続行不能
笑気/エンフルレン麻酔に切りかえて手術を続行
N2Oで導入,エンフルレンを深くし,SCC 40mg を用いて気管内挿管
10:30に手術終了
型通り覚醒を計る
気管内吸引にあわせて強い咳反射
同時に周囲によくきこえる プスッ という音がした.
ヘルニアの再発を疑ってもういちど麻酔して,手術創を開いた
右側で糸が2本切れ,他に一本が解けていた.(糸はデキソンの一号).
創傷を閉じて再び麻酔からの覚醒を計った
今度はカフの抜気に一致してプスッ という音が聞えたので
三度麻酔し,三度手術をやりなおした.
今度は右が2本切れ,他に左で組織の断裂によるヘルニア創のタカイが発生していた.
三どめの麻酔にはdTcを投与
筋弛緩薬が或る程度効果の残る時点で抜管してからリバ−ス
手術もさらに丈夫な糸を使用した.


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諏訪邦夫

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