内視鏡による胆嚢摘出術とダンディー法
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[目的] 内視鏡による胆嚢摘出術のこの大学病院でのやり方と成績を提示する.ダンディーは地名である.
[背景] 内視鏡による胆嚢摘出術の第1号は1987年,Lyon によるという.従来,胆石症に対しては石を溶かす方法や音波で砕く方法などが提案されてきたが,こうしたものが確実性に乏しく適用も限定される.しかし,内視鏡による胆嚢摘出術は胆石症で手術の必要な患者ほぼ全例に適用可能なのが特徴である.
[研究の場]手術室.
[対象]61例.
[使用機器と方法] 手術は必ず全身麻酔.体位は通常の背臥位.膀胱カテーテルと胃チュ−ブは必ず挿入した.術者は患者の左側に立ち,助手が右側に立つ.TVモニタ−は両側に一つずつで,お互いに反対側のものを観察しながら進める.腹腔内圧は12〜15mmHgに設定.レーザーは使用していない.
[解析] この論文にはいろいろなカラー写真が掲載されている.見慣れていれば何ということもない.
[結果] 合計61例の患者が内視鏡による胆嚢摘出術を受けた. そのうち60例はその予定通り内視鏡による胆嚢摘出術で手術を完了し,1例だけが開腹手術を受けた.2%弱である. 合併症の発生率は低く,重篤なものが2%だけである.その他に,輸血を必要としたものが5%あった. 内視鏡による胆嚢摘出術+胆道造影術の所要時間は中央値で135分,最短65分から最長270分であった. 胆嚢が正常に機能している場合は,機能していない場合よりも手術時間が短くて済んだ.機能が廃絶して線維化している胆嚢をとるのは時間がかかる.前者は125分,後者は175分であった. 切開創はブピバカインで浸潤麻酔を指向したが,ほぼ全例で鎮痛に麻薬が必要だった. 平均入院日数は2.9日,仕事に戻るまでの期間は平均11日であった. 腹痛などで再入院した患者が3人いた.
[結論]基本的に有用である.
Nathanson LK, Shimi S, Cuschieri A.Laparoscopic cholecystectomy: The Dundee technique BR J SURG. 78:155-159. 1991.
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諏訪邦夫
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