腹腔鏡下胆嚢摘出術による大出血
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腹腔鏡下胆嚢摘出術による大出血・低血圧の経験がある.
タイトル: 腹腔鏡下胆嚢摘出術による外腸骨動脈損傷,心停止
身長と体重: 150cm 45kg
年齢: 44
性: 女
病名 胆石症
手術 腹腔鏡下胆嚢摘出術
麻酔法1:硬膜外麻酔+全身麻酔
麻酔法2: たまたま臨床研究のために,硬膜外麻酔はカテーテルを入れたが,使用していなかった.動脈カテーテルを挿入していた.(研修医が難渋した後に,諏訪が自分で挿入)
事件の説明概要: 手術開始して,まず細い針で気腹した.次にトロアカールで下部腹壁を刺して覗き始めた. 「何も見えない.血だらけになっている」と叫んでいる. 血圧がみるみる低下した. 呼ばれて,諏訪が到着. 頚動脈かすかにふれるだけ. EKGは頻脈だけで,他の所見はない. 直接測定の動脈圧は,20〜30の間のレベルをかすかに動いている. すぐに,状況を外科医に知らせて,大出血を起しているから逡巡せずにすぐに開腹させ,同時に通常の蘇生にかかった.
笑気を切る アイソフルレンも切る 筋弛緩薬追加 昇圧薬:エフェドリン8mg 輸液の速度を挙げて,プラズマネート投与 頭低位 それ以上の処置をせずに自然に循環動態は回復.EKGは常に正常だった. 開腹して 腹腔内に出血 後腹膜腔に出血 左外腸骨動脈が切れて,噴きだしていた.
手術は,開腹胆摘. 出血の処理 出血量は推定1000ml? (カウントと吸引が400位,後腹膜腔の出血が500?) ヘモグロビンは術前13.5が術後は8(輸血せず)
術後の意識は見掛け上はまったく正常 その他の障害もなし 尿もよく出た(ドーパミン使用)
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諏訪邦夫
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