除細動
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心室細動の際に胸壁から直流電圧をかけると,これを契機にして細動が停止して正常のリズムにもどることが多い.この操作を「除細動」という.心臓手術などで心臓が露出していれば,心室壁に直接施行する.
この為に特に製作された放電装置(直流除細動器)を使用する.電極は直径約5cmの金属製の円板電極に電導性の軟膏(ゼリー)を十分に塗布して胸骨上部と心尖部とに当てて強く圧迫し,準備が出来たら放電する.
使用するエネルギーは? 胸壁外からの場合,通常は100ワット〜300ワットとされている.
厳密にいうと流したいのは心臓への“電流量”(と,時間)であり,エネルギーの他に胸壁抵抗に大きく依存する. あまり高いエネルギーを与えると,高電流を流すことになって心筋を損傷する危険がある.これは実験で証明されている.
心室細動の状態ではアドレナリンは原則としては投与しないが,細動が弱々しいと除細動に反応しにくいので,アドレナリンを与えて細動を強くしておいて除細動を試みることもある.
参照: 心室細動にはエピネフリンを与えてカウンターショック
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諏訪邦夫
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